共通の子育て支援法、現代風の群れ社会の形成
私は大阪のど真ん中、古い町屋が残る空堀地区で平成16年から「親子広場 たなかキッズクラブ」を開設しています。小児科医としては約35年のキャリアがあります。何らかの形で長年、育児支援と関わってきたのですが「ある方」を通して最近感じた育児支援について、一言書かせていただきます。
「ある方」というのは「ママココ」代表の中島さんです。中島さんは確か平成10年に当時では稀少な子育て当事者の自主サークル「なにわベビーズ」を中央区に立ち上げらました。この会が主催する運動会は会場の予約から設営、運営、後片付けまで何から何まで、子育て当事者のお母さん、お父さんがされていました。子育て当事者が主役で活動されていて参加させていただいた私は非常に感動しました。最近よく使われている「親育ち(親が主体)」「子育ち(子が主体)」を実行されていました。「たなかキッズクラブ」もできるだけ催しものはお母さん方で企画、実行していただき、地域の子育て支援に貢献している、社会参加をしているとの実感をもってもらおうと努めています。この原点は「なにわベビーズ」の活動にありました。また、中央区の子育て支援ネットワーク「わいわいねっと」でも交流作りに中心的な活躍をされていました。
最近、また彼女の新たな活動に触れ、改めて新しい育児支援の方法を感じさせていただきました。
もともと日本は農耕型の村社会、群れの中での子育てが行われてきました。同じ価値観で、言わなくても通じる関係性の中で子育ての方法が継承されてきました。しかし、ここ数年で日本社会は大きく変化し、価値観の多様化が進み、異文化社会化しました。その結果、共通の子育て支援の方法がなくなり、子育てが楽しめない親子が増え、ひいては児童虐待等の問題につながっていきました。その対策として最近は周産期からの虐待予防、1歳未満児へ親子への対応が重要視されています。そこで共通の子育て支援法として「コモンセンスペアレンテイング」や「タッチケア」が出てきました。「コモンセンスペアレンテイング」は最近、たなかキッズクラブで取り組んでいます。
また、育児支援のあり方は様々で、1)母子の愛着形成の支援
2)育児の負担の軽減 3)育児情報の提供や相談窓口の整備
4)リフレッシュする場の提供等が言われています。
中島さんは現在まで取り組んでこられた母親同士の交流をネットを通じて図り、お母さんの孤立を防ぐための「現代風の群れ社会」をつくろうとされています。新しい共通の子育て支援ツールを使い、ネットでの新しい群れ社会の中でお母さん、お父さんが子育てってこんな楽しいものって思える社会をつくろうとされているのではと思います。以前、中島さんに教えられたように、また、新しい子育て支援の方法かと思い、今後の活動を楽しみにして、注意深く見守っていこうと思っています。
医療法人 田中小児科医院 田中 祥介
NPO法人きりん(たなかキッズクラブ)理事長
大阪市立桃園幼稚園園医
パドマ幼稚園園医
つばな保育園嘱託医