労働基準法の産前産後休業

労働基準法では、働く女性が産前６週間（多胎妊娠は１４週間）以内に出産する（出産予定日がある）場合、そして産後の８週間については休業を認めることを法令で規定しています。この期間、会社が休暇を認めるだけで、給与を支払われることを義務付けるものではありません。

健康保険の出産手当金

前述の期間の支援策としてあげられるのが、健康保険からの出産手当金という給付金制度が存在します。これは出産（予定日）以前４２日（多胎妊娠の場合９８日）から産後５６日までの間に仕事をせず、給与が会社から出なかった場合に、標準報酬日額（標準報酬月額の1/30）の2/3が支給される制度です。（概算ですと、お給料÷３０＝１日額　１日休むごとに１日額の2/3が支給されます）

労働基準法…産前６週間、産後８週間
健康保険法…産前４２日、産後５６日
※各法律の表現が違うだけで、同じ期間を指します。

健康保険の出産一時金

更に出産(※)を行った場合、出産育児一時金を受取ることが出来ます。中小企業の多くが加入している全国健康保険協会（協会けんぽ）では、一律１人４２万円となっています。（産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は４２万→３９万円となります）

※健康保険でいう「出産」とは、妊娠85日（4ヶ月）以後の生産（早産）、死産（流産）、人工妊娠中絶を言います。

出産を終え、５６日経過までは産後休業として、前述の出産手当金が支給され、５６日経過後（５７日目）からは育児休業に入ります。この育児休業期間については雇用保険から「育児休業給付」の支給が行われます。

雇用保険の育児休業給付

雇用保険の被保険者の方（会社を辞めていないママ※）が、１歳（保育所に入所できないなど一定の場合は1歳6か月）に満たない子を養育するために育児休業をした場合に、育児休業給付の支給を受けることができます。
（簡単に表現すると、産後５７日目から子供の１歳の誕生日の前々日まで、育児休業した日について支給を受けることができます。）

※会社を辞めていないママの条件
育児休業開始日前２年間に、賃金支払基礎日数（原則、日給者は各月の出勤日数、月給者は各月の暦日数）が11日以上ある月が12か月以上ある方が育児休業給付の対象者。

育児休業給付の支給額
休業開始時賃金日額(※)×支給日数＝賃金月額(※)
賃金月額×50％(※)＝支給額

※休業開始時賃金日額とは原則として、育児休業開始前６か月間の賃金を１８０日で割った額です。
※支給金額には上限があります。
※原則40％ですが、国の施策として当分の間は50％です。

育児休業等期間中の社会保険料（健康保険・厚生年金保険）の免除

会社の方が年金事務所又は健康保険組合に申出をすることによって、育児休業等（育児休業又は育児休業の制度に準ずる措置による休業）をしている間の社会保険料が、被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除される制度です。
この手続はお勤め先の会社にて行ってもらって下さい。

免除期間は育児休業等を開始した日が含まれる月から、終了した日の翌日が含まれる月の前月までの期間（ただし、子が３歳に達するまで）です。

※雇用保険の育児休業給付は、子供の１歳の誕生日（保育所に入所できないなど一定の場合は1歳6か月）までしか給付はありませんが、社会保険料の免除は休業している限り子供が３歳に達するまで（３歳の誕生日の前々日まで）可能です。

育児休業期間中の住民税の徴収猶予

一時に納税することが困難であると地方団体の長が認める場合は、育児休業期間中１年以内の期間に限り、住民税の徴収が猶予されます。猶予された住民税は、職場復帰後に延滞金とともに納税することになります。延滞金は、猶予期間（延滞金が年14.6％の割合により計算される期間に限ります）に対応する部分の２分の１は免除され、又は地方団体の長の判断によりその全額を免除することができるとされています。

児童手当

最後に自己申請の児童手当があります。自分で市役所へ行って手続を行う必要があります。（平成２４年４月から新しい児童手当制度が始まっています。「子ども手当」は現在ありません。）支給額は以下の通りです。
・0～3歳未満一律15,000円
・3歳～小学校修了まで
　・第1子、第2子:10,000円
　・第3子以降:15,000円
・中学生一律10000円
・親に一定の所得以上ある場合、一律5,000円（当分の間の特例給付）