食・健康コラム - 体も心も元気に

豆の記 ~煮ル、食ス、満ツル~ その4 煎ル、点テル、味ワウ

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昔アラブの偉い お坊さんが 恋を忘れた あわれな男に
しびれるような 香りいっぱいの
こはく色した 飲みものをおしえてあげました

やがて心うきうき とっても不思議このムード
たちまち男は 若い娘に恋をした

『コーヒールンバ』 作詞・作曲 ホセ・マンソ・ペローニ
歌 井上陽水など

作品の良し悪しは別にして、アメリカ映画に見る珈琲は不味そうに映ります。
――夜勤明けの刑事。右の手に煙草。朝陽と煙が目に沁みる。不健康の精が現れ「ヒヒヒ…」と唇を傾けて笑う。やがて何番目かに現れるであろう胸やけの象徴。
――薄い酸っぱい(酸化の盛りに)、なみなみ注げよドーナツ片手(砂糖と油)に流しこめ!

また、私がハワイ島で立ち寄ったカフェでは、おかわりなど要求する間もなく豊満なお体の女性店員さんがやって来て「カフィー?」と、次から次に愛想よく大きなカップを満たしてくれたことが思い返されます。

茶や煙草と同様、珈琲もそもそもは薬として飲用されていたといいます。
ちなみに国内における最初の本格的な茶園(伝来はさらに遡るようですが)は鎌倉時代初期、『鳥獣人物戯画』で著名な京都の高山寺に、煙草のそれは慶長年間(17世紀初頭)の長崎の地とされています。

珈琲の起源、誕生説話は様々あるようですが、代表的なものは以下のふたつです。

①6世紀、エチオピア:山羊飼いカルディが発見したというお話
ある日、カルディは、山羊が赤い実を食べるととても元気になり、みんないつまでも走り回ることに気付きました。
カルディは不思議に思い、山羊と同じように赤い実を食べてみると、「あな、おかしや。」――気分爽快、リフレッシュ。
それを伝え聞いた、とある修道士は、赤い実を煮て飲料とし同僚たちとともに夜勤のお供、眠気覚ましに用いましたとさ。

②13世紀、イエメン:僧侶シェーク・オマールが発見したというお話
僧侶オマールは冤罪をえて、モカ(現イエメン)のある町を追放されてしまいました。
やがて食物も尽き山中をさまよっていますと、一羽の鳥が赤い実をついばみ元気に鳴く姿が目にとまりました。
オマールは「もしや」と、実を口にすると、「あな、おかしや。不思議不可識の実なりや。」
――飢えが癒され疲労解消、元気百倍。
医者でもあったオマールはこの実で多くの病人を救います。
やがて彼は罪を許されて追放の町に戻り、人々から崇拝されるようになりましたとさ。

どちらのお話も、珈琲の秘薬としての始まりを今に伝えます。
ちなみに日本への伝来は元禄年間、長崎出島のオランダ人によるとされています。

珈琲の栽培原種は3種類ですが、日本では主に「アラビカ種」「ロブスタ種」が供給されています。
「ロブスタ種」は主に、インスタントコーヒーや缶コーヒーで使用されており、実際に焙煎したての豆で両者を味わうと、別物というくらいに違いを感じました。

珈琲は、元々、煮汁として飲まれていたようです。
現在の一般的な加工形式(生豆を焙煎し、粉に挽き、濾して飲む)が登場するのは15世紀頃のことで、その後は嗜好飲料として世界中に定着し、広まっていきました。
19世紀頃までのアラブやヨーロッパでは、各家庭(焙煎は料理の一種として、主婦の仕事とされていました)や、町にある珈琲豆屋さんで必要な量だけを焙煎していましたが、20世紀に入ると大量焙煎が技術的に可能となります。
焙煎は家庭から切り離され、工場へとその舞台を移すこととなるのです。

「家でごはんを炊くように」各家庭で生豆として購入され、焙煎された珈琲豆。
「スーパーや量販店で購入する」焙煎されたあるいは挽かれた珈琲豆。

両者に違いはあるのでしょうか。謎かけを解く鍵は「鮮度」にあります。
例えば以下のような指摘があります。

「珈琲本来の香気・香味は鮮度の中にしか存在しない」
「珈琲は焙煎によって味が確定するが、その後は香気成分の劣化と酸化が始まる」
「例えば1年と設定された消費期限は、明らかに売り手の一方的な都合の押し付けであり、品質の長期保存がなされているとはとてもいえない」
「焙煎豆以上に挽いた珈琲豆の酸化は、端的にいって、空気に触れた瞬間から秒単位で急速に進むと捉えて構わない」

例えば珈琲豆屋さん、あるいは喫茶店やカフェで「当店は、スペシャリティーコーヒーの豆のみを提供しております」といった掲示を見かけた方がおられるかもしれません。
そもそも「スペシャリティーコーヒー」とは何でしょうか。
実はその定義は未だ定まってはいないようですが、「素晴らしい風味・特性をもったコーヒー」と大体イメージされています。

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

日本スペシャリティコーヒー協会

この仮の定義に従えば「提供しています」より「目指しています」という文言が正しい気もしますが、言いたいこと(「いい豆を仕入れているから美味しいよ」)はわかります。
対して、私がお世話(生豆の購入から家庭焙煎教室、また様々な珈琲の楽しみ方など)になっているお店は、スペシャリティーコーヒー協会には加盟していません。
そしてこの先も加盟するつもりはないようです。

そこでは「珈琲本来の香味と鮮度」を提供するための具体的な方針が謳われています。
1. 必ず焙煎日を明記すること。
2. 焙煎後7日以上経過した豆は提供しないこと。

贔屓目がないとはいいません。しかし私にはブランドの名のみを高々と掲げる手法より、ずっと売り手として誠実な言明であると感じられるのです。

もちろん嗜好品である珈琲の楽しみ方はそれぞれで、例えばインスタントコーヒーや缶コーヒーを常飲することに「アナタ、間違っとる!」などと大上段に物申すつもりは全くありません。
ただもしここまで読まれていくなかで、「おや?」「ほんまかいな…」「あやしいな」などと、何であれ何かしらの引っかかりを覚えていただくだけでも、私としては幸いです。

コンガ マラカス 楽しいルンバのリズム 南の国の情熱のアロマ
それは素敵な飲みもの コーヒー・モカマタリ

みんな陽気に飲んで踊ろう
愛のコーヒールンバ

以上、これからも恋や語りの道具立てとしてのある位置を占めつづけるであろう、とある異国伝来の飲みものに関する四方山のお話でした。

栄養士 杉井 もえ

栄養士免許取得後、料理撮影アシスタントに。
その後、珈琲会社で輸入食材販売を担当。
あるひと夏レタス畑にて働く。仲居になる。
病院栄養士退職後、豆とスパイスに目覚める。
現在、自宅で豆を煮る日々。

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