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第14回:ニュージーランド 大切なのは子どももその家族も一緒

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ニュージーランドなんだから、田舎で子育て

クローディアー真理

キアオラ! ママココ読者の皆さん。
ニュージーランド在住のフリーランスライター、クローディアー真理と申します。
両親が関西出身で、大阪弁が飛び交う横浜の実家を出、ニュージーランドに渡って16年目になります。

冒頭の挨拶は、「こんにちは」という意味の先住民マオリの言葉。
ニュージーランドはそんなマオリやヨーロッパ系をはじめ、世界各国からの移民が住む、多民族国家です。
さまざまな伝統習慣、価値観を持つ人たちが、大きな対立もなく仲良く暮らしています。

用意された材料があるわけでも、説明書があるわけでもありません。庭に落ちている枝やつるを使い、お父さんと一緒に工夫して簡単な小屋を作りました。

私が住んでいるのは、北島の西海岸にあるニュープリマス。
富士山にそっくりな山、タラナキ山のふもとに広がる、人口6万人ほどの小さな町です。
今11歳の娘が生まれた時、「せっかくニュージーランドに住んでいるのだから、自然が豊かで人情の厚い田舎で育てたい」と、国内最大の都市オークランドから、生後2ヵ月の彼女を連れ、ニュージーランド人の夫とこの地に引っ越してきました。

私たち住んでいるのは古いヴィラ。
トラックに乗せて(!)、移築したものです。
築100年以上なので、新築の家のように何もかもが行き届いているわけではありません。
手持ちのものを工夫して少しずつ修理をしたり、ペンキを塗ったりするのを見たり、手伝ったりしながら、娘は育ってきました。
大きくなるにつれ、「手作りじゃなくて、買ったものがいい」とふくれっ面をする反面、あらゆる機会に創意工夫のアイデアを出してくれるのも彼女です。

母親のエネルギー供給源は周囲の人々!?

おっぱいをあげること以外、お父さんは何でもできる!? 母親の方が得意そうなことも、実は父親の方が上手にできることもあります。子育ては夫婦お互いの再発見の場にも。

「育児をしている時には、孤独感がつきもの」といいますが、ニュージーランドの母親は、その点で恵まれています。
一番身近で頼りになるのが、自分の夫/パートナー。
彼らは、オスが卵を温めることで知られる鳥、キーウィの名を取って、「キーウィ・ハズバンド」と呼ばれています。
日本でいう母親学級への参加、出産時の立会い、育児休暇の取得はもちろん、子育て全般をこなし、家事も得意。
精神的にも、身体的にも母親の強い味方になってくれます。

外に出れば、子どもがいるからこその出会いが待っています。
スーパーのレジのおばさんが子供をあやしてくれたり、公園を散歩すれば、通りすがりの人が子どもを見て、「まぁ、なんてかわいいの!」なんて声をかけてくれます。
道端で何か困っていたら、皆が寄ってきて、助けてくれます。遊び場に行けば、見知らぬお母さんとおしゃべり。
それをきっかけに友達になったということも珍しくありません。
見知らぬ人も母親の応援団なのです。

つまり、社会全体が子ども、そして子どものいる家庭に寛大だといえるでしょう。
子どもが病気になり、父親が急に休みを取ったり、早退することになったりしても、雇い主は渋い顔などしません。
子どもを預かってくれる人がいない時に、上司に許可をもらえば、たいていの場合、勤め先に連れてくることもできます。

「プランケット」・ナースの大きな存在

プランケットでは、子ども用のカーシートのレンタルも行っています。子どもが生きる未来を考えれば、資源の無駄は防ぎたいですよね。もちろん専門スタッフが整備したものを、車に正しく装着してもらえるのも魅力です。

この国の出産は、助産師と共に行うのが一般的ですが、助産師はそれだけでなく、生後4~6週間まで、新生児と母親のもとを訪れて、すべてが順調かを確認してくれます。
その後は5歳までの子どもたちの福利をサポートする組織、「プランケット」のナースにバトンタッチ。
節目節目に、子どもの発育状態をチェックし、母親の相談に乗るために面会をしてくれます。
我が家は半分日本流の育児法を取り入れていましたが、私の話に耳を傾け、それも尊重してくれました。
また娘がよく夜寝ない時には専門のカウンセラーに、言葉が出るのが遅かった際には言語療法士に、引き合わせてくれました。

プランケット・ナースは子どものためだけの存在ではありません。
母親の精神的、身体的健康にも留意してくれます。
母親があまりにも疲れていると判断したら、短時間ですが、その場で子供の面倒を見てくれ、母親に自分の時間を取らせるというようなことまでしてくれます。

さらには暴力や貧困など、家庭内に問題がある場合は、各関係機関と連携し、解決に努力を惜しみません。

助産師と共に出産し、プランケット・ナースの検診を受け、アドバイスをもらい、睡眠専門のカウンセラーや言語療法士と面会する……かなりお金がかかっていると思われるでしょうが、これらはすべて無料です。
そのほかにも、18歳までの歯科検診や治療、6歳までの主治医診察と薬代も親は負担せずに済みます。
この国では共働きが一般的です。
子どもが生まれてからしばらくは、特に夫の収入のみに頼らざるを得ないのが実情。
そんな時に、こうした国からのサポートは助かります。

日本とはずいぶん違う小学校

日本ですと、桜の季節に行われる入学式を経て小学校にあがるわけですが、ニュージーランドにはそんな「イニシエーション」はありません。
子どもたちは5歳の誕生日を迎えると、皆バラバラに小学校に通い始めます。
大切な人生の節目の割には、あまりにもあっさりしていて、私には残念な気がしたものです。

小学校には0年生から6年生が在籍していますが、必ずしもクラスにいる子ども全員が同じ学年とは限りません。
その時の人数により、0年生と1年生、4年生と5年生の混合クラスだったりするのです。
それでも特に問題は見られません。
そもそも授業はグループ分けされた上、個人で進められることが多いからです。
そのグループ分けは算数と読解は0年生の時から能力別です。
だからといって、レベルの高い子が低い子を見下げたり、低い子が高い子をねたんだりということはなく、皆淡々としているのには感心します。
大人も見習うべきですね。

娘の通っている学校には「オープンドア」ポリシーなるものがあり、他校と少し違っています。
これは「親が教室に出入りするのはいつでも歓迎」というものです。
私もよく、どんなことをしているかを知りたくて、終業時間の少し前に教室に入っていきます。
このポリシーがあることで、いちいち面会の予約をする必要もなく、気軽に教師に相談事をしたり、クラスがどんな様子なのかを自分の目で確かめることができます。

こんな風に時折親が授業風景を見に立ち寄っても、子どもたちの気が散るということがないのは、クラス内に、教師や授業を手伝う、親のボランティアがいるからです。
娘の通う学校だけでなく、ニュージーランドの小学校は親なしでは成り立ちません。
給食がないので、週に一度学校で販売するランチを用意するのも、教室の壁に子どもたちが仕上げた絵を張るのも、スペリングのテストをするのも(!)、ボランティアの親なのです。
貴重な自分の時間を割くのは、時に億劫なこともありますが、気分転換になったり、学ぶことも多々あります。
子どもたちもそんなボランティアの姿を見て、自分たちのことを考えてくれる親、そしてコミュニティの存在を感じてくれていると思います。

「リッチ・トピック」のオリンピックをテーマにした体育の授業風景。子どもたちは架空の国を作り、旗やシンボルを決め、その国のオリンピック代表団として、競技に挑みます。

またニュージーランドの小学校で行われている授業の中で面白いものがあります。
それは「リッチ・トピック」なるテーマ。
学期ごとに決められ、それにそい、各学年にふさわしいレベルのことを、全校にわたって学びます。
テーマは、「オリンピック」「エネルギー」「海賊(!?)」と、学校にふさわしいものもあれば、どうしてこれが? というものもあり、ユニークです。
「オリンピック」を例に取ると、低学年ではオリンピックに参加する国の国旗のことを、中学年ではオリンピック参加国にはどんな国があって、そこはどんな国なのかを調べ、高学年ではオリンピックの歴史を学ぶといった具合です。
さらには、学校全体で「オリンピック」と称し、スポーツ大会も開かれました。
こうした横割りとでもいう教育は、私の目には新鮮に映ります。

ニュージーランドで子育てをしていて、身にしみて感じるのは、「親が幸せだったら、子供も幸せ」ということです。
家族、友人、育児関係者だけでなく、見知らぬ人の助けも遠慮なく借り、ともすればイライラしがちな子育てに余裕を持つことは、実は親本人だけでなく、子供にとってもとても大切なことだと思います。

なので、日本のお母さんたちには「がんばれ」なんて言いません。
「ハッピーになって」という声援を送りたいですね。
子供たちは、国にかかわらず、お母さんの笑顔が大好きなのですから!

クローディアー 真理

クローディアー 真理

東京で編集者として8年間勤務。1998年ニュージーランドへ。 オークランドにて博物館勤務、地元日本語誌2誌の制作を経て、2003年よりフリーランスライター。ニュージーランド航空や観光局の発行物やウェブサイト、ガイドブックや留学情報誌などの執筆を経て、現在は『ニュース・マガジンPUNTA』『WEBRONZA』などのウェブサイト、『クーヨン』『alterna』といった印刷媒体に寄稿している。ボランティアで日本人児童のためのプレイグループ、日本語図書館を主宰。

» ライター、クローディアー真理の「もっとNZを知ってほしい!」

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