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第23回:カザフスタン 厳しい気候の中でも笑顔で

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カザフの言語事情

冬になると凍ってしまう川。皆それぞれに短い夏を楽しんでいます。

ママココ大阪をご覧のみなさま、はじめまして。
中央アジアに位置するカザフスタン共和国の首都アスタナで、カザフ人の夫と息子2人と暮らす橋本翠と申します。
日本人にはあまり馴染みのない国かとは思いますが、カザフ人の顔立ちはとても日本人にそっくりなのです。
外を歩いても私が日本人だと気付かれる事はまずありません。
カザフ在住8年で私が現地化してしまったのかもしれませんが、夫より私の方がカザフ人に似ているらしく、二人で歩いていても私の方が道を聞かれる事が多いです。

カザフスタンは人口1600万人のうち6割をカザフ系、2割をロシア系が占め、その他ウズベク、ウイグル、ドイツ、朝鮮系等の様々な民族で構成されている国です。
公用語はカザフ語ですが民族間共通語はロシア語と制定されています。
カザフ系以外の民族は主にロシア語で会話しますが、カザフ系は両方を使い、時には二言語の単語を混ぜながら話します。

一時通っていたロシア語クラスの保育園にて。おめかしをして3月8日の「女性の日」をお祝いしています。

このような環境のため保育園からロシア語クラス、カザフ語クラスと別れています。
カザフ語クラスに入っても子供同士の会話や子供たちに人気のテレビアニメがロシア語だったりするので、自然とロシア語も身につけていきます。
逆にカザフ語は、周囲が話す環境にあるか、または自ら勉強しないと身につけるのは難しいようで、カザフ語が苦手なカザフ人も少なくありません。
もうすぐ4歳になる長男には、私とは日本語、夫とはカザフ語を話すよう徹底してきました。
家族間の会話にロシア語は登場しないのですが、いつもどこからか仕入れてきて披露してくれます。

子供が多い街

うちのアパートの下にある遊び場。親の交流の場でもあります。たまに隣のアパートの遊び場に遊びに行くことも。

カザフスタンでは出生率が上昇傾向にあり、子供と妊婦の姿を非常によく見かけます。
しかし、子供の数が増えているのに公立幼稚園の数がまだまだ足りておらず、生まれてすぐに申し込んでもなかなか順番が回って来ないのが実情です。
3月で4歳になる長男は生後4ヶ月の時に申し込んだのですが、未だに順番が回って来ていません。

アスタナではたいていのアパートの外に子供の遊び場があり、わざわざ公園まで出かける必要はありません。
夏は22時前まで明るいので少し暑さが和らぐ夕方から外へ出て遊ぶたくさんの子供の姿が見られます。
日本のような湿気は無くとも日中40度近くまで気温が高くなるため、外で遊ぶとなると朝か夕方以降になってしまうのです。
外で思いきり遊ぶことができるのも短期間なので、その間は子供たちの寝るのが遅くなっても仕方がないと思っています。
遊び場には兄弟同士で来ている子供たちも多く、上の子がちゃんと下の子の面倒を見ているのには感心します。

出産にあたって

国立病院産婦人科の廊下。各部屋の担当医師を立ちながら待ちます。

カザフスタンでは登録住所によって振り分けられた公立診療所での妊婦健診、公立産院での出産は無料となっています。
出産は無料ですが担当医師と看護師に謝礼としてお金を包む習慣があります。
有料にはなりますが国立病院、私立病院という選択肢もあります。私は2回とも出産は日本でしたが、8ヶ月までの健診は国立病院に通っていました。
働いている女性が産休に入ると、社会保険から給与の額により多額の一時金が給付されます。
数年前までは給与が高ければ高い程、上限無く給付されていましたが現在では上限額が設定されています。
出産後は、産前の勤務状況の有無に関わらず全員に一時金50,000テンゲ(現在のレートで約17,000円)が給付されます。
ただし、これはカザフスタン国籍の人のみに給付されるもので、我が家の場合は夫宛に給付されました。
また、子供が1歳の誕生日を迎えるまで、出産した全ての女性に毎月お金が振り込まれます。
働いていた女性は給与による額、主婦は最低賃金による額となっています。

誕生後のイベント

カザフスタンでは生後40日間は、悪霊や妬みから守るという理由から家族以外ごくわずかな人にしか子供を見せない風習があります。
写真すら見せません。
40日経つと親戚、友人を招いて盛大にお祝いをします。
その際には20テンゲ銀貨を入れた容器にスプーン40杯の水をすくい入れ、その水で子供の体を洗い清めます。
そして生後初めて髪と爪を切ります。
この儀式は、生涯「第二の母」と呼ばれる人を指定してその人に行ってもらいます。

「紐切りの儀式」で足に紐を巻きつけられ歩く長男。

1歳の誕生日も盛大にお祝いします。
我が家の長男の1歳の誕生日会は結婚式場も兼ねるレストランで80人程を招待して盛大にお祝いしました。
歩き出した子供の足に黒と白の紐を巻きつけ、見本となる人に紐を切ってもらう「紐切りの儀式」も同時に行いました。
日本と同じく選び取りもあるのですよ。

厳しい気候の中で

防寒着を着せる時には暑がって嫌がりますが外に出ると一瞬で寝てしまいます。

アスタナは世界でもモンゴルのウランバートルに次ぐ寒さの厳しい首都と言われており、夏は気温40度近くまで上がり、冬はマイナス40度まで下がる事があります。
例年10月末頃から雪が降り始め、3月末頃にやっと雪どけが始まります。
私もすっかり慣れたものでマイナス10度台なら今日は少し涼しいのねと思えるようになりました。
風がある日は体感温度も低くなり寒く感じますが、マイナス15度位ならしっかり防寒して子連れでの散歩も可能です。
本格的な冬になると外に出せない日が続くので、今がチャンス!とばかりにタイヤの大きなベビーカーに赤ちゃんを乗せて新鮮な空気を吸わせるお母さんや、ソリに子供を乗せて買い物に出かけるお母さんを見かけます。
最近は、見た目はベビーカーのようでタイヤ部分がソリになった商品もあります。
カザフスタンではソリはただの遊び道具ではなく、実用的な移動手段なのです。

カザフスタンは今でも家族、親戚の結びつきが強い国です。
お祝い事や誰かの誕生日となるとその家に集まってお祝いをします。
普段も夫の両親や姉弟が家に来たり、私たちが訪ねて行ったりしています。
出張で家を不在にしがちな夫に代わり両親が代わる代わる来て子供たちの面倒を見てくれ、私に気晴らしに外に出ておいでと言ってくれる事もあります。
極寒になる冬場はごみ捨てや近所のお店まで少し外出するにも子連れだと大変になるので大変助かっています。

次男誕生祝いのために集まった家族親戚・知人。一人ずつ祝いの言葉を述べます。

カザフスタンの人は従兄弟の事を兄、妹のように呼ぶので、事情を知らなかった頃は皆兄弟が多いなぁと勘違いしていました。
長男には半年遅く生まれた従弟がいるのですが、まさに実の兄弟のように育っています。
都合が悪い時には私がその従弟の面倒をみたり、長男が泊まりに行ったり、遊びに連れて行ってもらったり。
私が昨年、次男出産のため帰国していた時には、私の産後から長男は夫とカザフスタンに戻り両親と弟家族が住む家に2か月お世話になっていました。
一年の半分が寒く、子育てをするにはなかなか厳しい環境ですがお互い助け合いながら暮らしています。

子は親を見て育つ

アルマティからアスタナに首都が移ってまだ20年弱ですが、来年2017年に万博が開催されるとあって、現在どんどん新しい建物が建ち、街並み整備が急ピッチで進められています。
街中から車で30分も走ればステップ風景に変わる今はまだ小さな首都ですが、どんどん街が広がり変わっていく様子は圧巻です。

新市街中心部。奥は首都のシンボル・バイテレックタワー。

海外で子育てをしていると、私の常識がここの常識ではないという事が多々あります。
気候も文化も違うので妥協しなくてはいけない部分が出てきたり、こだわる部分は自分のやり方を固持したりとあれこれ探りながらやっています。
旧ソ連時代、むやみに笑う事はよくないとされていたそうで未だにその名残で無表情な人が多い気がします。
以前からこれだけはとても気になっていて、自分に子供が生まれたら表情の豊かな子供になってほしいと思っていました。
そのためにまずは親である私たちが笑顔で話しかけないといけないのですよね。
実際はやんちゃ盛りの長男を前に怒ってばかりの毎日なのですが、今年はできるだけ笑顔を心掛けて過ごしたいと思っています。

なかなか訪れる機会のない国とは思いますが、みなさん万博開催の際には是非お越しくださいね。

橋本 翠

橋本 翠

1982年長崎県生まれ。大阪外国語大学中東地域文化専攻トルコ語科卒業。大学時代にトルコ共和国アンカラへ留学。大学卒業後に在イスタンブール日本国総領事館に派遣員として2年間勤務した後カザフスタン共和国アスタナへ。カザフ語とロシア語を学びつつ日本語を教えていた。アスタナ市のJICAプロジェクト事務所に勤務後2012年に第一子を出産。2015年夏に第二子を出産し、現在子育て真っ只中。

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