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第4回:デンマーク 子育ては大自然とともに

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マイナス10°Cまでは外で散歩

ニールセン 北村 朋子

こんにちは!デンマークでジャーナリストをしているニールセン北村朋子です。
私がデンマークの片田舎、ロラン島に住み始めたのは2001年の10月。首都コペンハーゲンでなく、デンマークの中でも超田舎と言われているロラン島に住むことになったのは、私の夫の出身地だから。夫と出会って初めてデンマークを訪れ、ロラン島に行った時は、山がなく(一番高い所でも海抜25メートル!)、あたりは一面、畑か森、ところどころにぽつんぽつんと集落があるという風景に、ものすごく魅了されてしまいました。しかも、電線がない!それに、高い建物もない!だから、空がとても広く感じるし、夜になると辺り一面真っ暗になるので、満点の星空がそれはそれはきれいなんです。

庭で大好きな雪だるまを作って誇らしげな息子です。この年は結構雪が降ったんですけど、今年はどうでしょう…。

デンマークで妊娠、出産を経験して驚いたのは、アメリカのスズキマサミさんも書いていましたが、出産したお母さんが、出産したその日、もしくは翌日にはもう退院していくことです!「妊娠、出産は病気じゃないから、一日も早く家族の待つ我が家に帰りたい」というのがその理由とか。
同室で、やはり前日に普通分娩で双子を出産したお母さんは超元気で、おまけにものすごい食欲!差し入れられた料理などを盛大に食べた後、双子を抱いて元気に退院していくのを見送りながら「デンマーク人ってタフだな〜」と圧倒されました。私の方はといえば、帝王切開だったため4日目あたりで退院して大丈夫と言われていましたが、結局、5日目にめでたく退院。病院の食事が思いのほか、とてもおいしかったので、後ろ髪引かれる思いで病院を後にしました(笑)。

退院後は、「今日からマイナス10°Cまでは、ダイヤモンドダストが出ない限り、赤ちゃんをベビーカーに乗せて毎日散歩に出てくださいね〜」と看護師さんに言われて、これまたビックリ!こちらでは、毎日定期的に外出して、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んだ方が、赤ちゃんも肺が丈夫になってよく眠るようになるし、お母さんの心身の健康にもいい、と考えられているようです。確かに、デンマークに来てからというもの、生後数日という本当に生まれたてのような赤ちゃんを連れたお父さんやお母さんを見かけることが多かったので、納得して毎日散歩に出ていましたが、息子は11月の下旬生まれだったので、寒い中、そして帝王切開の傷口もまだ痛む中、ベビーカーの子供も私も完全防寒でどんよりした天気の中散歩に出るのは、少しつらかったことを覚えています。

どんな天気でも外で!森の幼稚園

森の幼稚園の写真です。森の中で、歌声を響かせる子どもたち。

子供が1歳になってからは、市から委託されているダオプライエモア(保育ママ)に子供を預けるようになりました。ダオプライエモアは、生後6か月くらいから3歳になるまでの乳幼児を3−4人、自宅で預かってくれる制度です。デンマークでは、ほとんどの家庭が共働きなので、ダオプライエモアの充実は社会にとって欠かせません。高福祉高負担の国として知られるデンマークですが、付加価値税(日本の消費税にあたるもの)は25%、所得からも平均して5割は税金として引かれることで財政を成り立たせているこの国では、子供を預けられないお父さんやお母さんが働けないと、税金を取りっぱぐれてしまうことになるので、国としても自治体としても、なんとか待機児童を出すまいと必死。おかげで、ほとんどの自治体が子供の「預かり保証」を住民にしていて、待機児童の問題はあまり聞きません。

デンマークは、「森の幼稚園」の発祥の地としても知られています。森の幼稚園は、1952年に、デンマークのあるお母さんが、子供たちを毎日森に連れて行っていたことから始まりました。近所の人たちが、「うちの子もついでに連れて行って!」と頼むようになり、いつしかそれが幼稚園になっていったのです。デンマークでは現在、約500の森の幼稚園があると言われていて、私の住むロラン島にも3つありますが、ここでは、子供が生まれたらまず森の幼稚園に申し込む、というほど人気です。

森の幼稚園は、基本的に園舎を持たず、一日中、そして一年中、どんな天気でも朝から夕方まで森で過ごすというスタイルのところがほとんど。私たちの森の幼稚園『青いアネモネ』もそうで、6時半頃から別の場所で子供を預かり、そこで朝食も食べた後、9時頃森へやってきます。まかないさんがお昼を作ってくれるキッチンと、トイレのある建物以外は、敷地の真ん中辺りにインディアンティピーという大きなテントがあるだけ。あとは、木のケースを使ったバイキング船や木につり下げられたブランコなど、先生や子供が通う親たちの手作りの遊具が少しあります。子どもたちは、森の中で見つけるいろいろな昆虫や小動物、植物を観察したり、小麦を挽いてパンを焼いたり、ティピーの中にあるたき火でスープを作ったり。日本の幼稚園のような厳密な時間割はなくて、四季折々、移りゆく自然の中から多くを学びます。ちなみに、デンマークの幼稚園は一斉入園ではなく、3歳のお誕生日の頃からパラパラと幼稚園に通い始めるので、入園式もありません!

「手仕事の時間」「自然と技術」など、学校ではおもしろい科目も。

授業参観がないので、学校で子供の様子を見られるのは、
クリスマスなど、限られた行事の時だけ。ということで、クリスマスの劇を学校併設の教会で披露している写真です。

今、息子は4年生。デンマークの学校では、1年生から教科別に先生が分かれていて、教科書も国定のものはなく、すべて担当の先生に一任されています。3年生からは英語も始まりましたが、先生は授業の1時間目からすべて英語で話すという徹底ぶり!どちらかというと、読み書きよりはコミュニケーション重視で教えているようです。日本の理科と社会と環境教育を一緒にしたような「自然と技術」という授業があり、自然科学や環境、再生可能エネルギーや持続可能性について、実生活と結びつけながら実践的な教育をしています。それから、4年生からは「手仕事の時間」というのもあり、息子は手芸に夢中。「編み物の時間が待ちきれないよ」と今から楽しみにしている様子です(笑)。洋裁や、刺繍、編み物から木工や日本の技術家庭のような内容を、男女ともに教えてもらえる時間で、手仕事を大事にしてきたデンマークらしいなと思います。親としては、実際にどんな授業が行われているのが気になるところですが、デンマークには残念ながら授業参観はありません。なにしろ、ほとんどの親が共働きですからね!それから、学校と家庭との連絡はペーパーレスが進んでおり、学校のイントラネットを通じて、行事や連絡、宿題などを確認できるようになっているんですよ。

意外!関西のノリに近いデンマーク

森の幼稚園のクリスマスに行なわれた「サンタルシア祭」。
小さなろうそくを持って、サンタルシアの歌を歌いながら森の中を静かに歩きます。

週の法定労働時間が37時間と決まっていて、午後4時に仕事を終えるお父さん、お母さんの多いデンマークでは、家族や親戚、友人同士が気軽に集まってコーヒーを飲んだり、食事を共にしたりします。そんな中で感じるのは、デンマークの子育ては、親や学校だけでなく、親戚や友人、地域の人たちも巻き込んで行なうものだということ。それは、「北欧のラテン」とも言われるデンマーク人気質にも関係しているのかもしれません。現に、よく大阪で見かけるような、ちょっとおせっかいなくらいなおじちゃん、おばちゃんがいっぱいいて「こらっ。ちっちゃい子をいじめちゃだめだ!」とか「何か困ったことでもあるの?言ってごらん、おばちゃんが助けてあげるから」とか、気軽に声をかけてくれます。そんなところも、ちょっと懐かしさと心地よさを感じるデンマークの良さかもしれません。

子育ては、子供に教えられることが本当に多いし、地域の人たちの親切が身にしみることもしばしば。私も、「こんなご近所さんがいてよかったなぁ」と思ってもらえるように、これまでたくさんの人から受けた親切を、少しでもお返ししていきたいなと思っています。

マココ大阪をごらんの皆さんも、日々の子育てに毎日悪戦苦闘していることと思いますが、子供たちには、子供時代だからこそできることをたくさん体験できるよう、見守ってあげられるママでいられればいいですよね、お互いに!(私はまだまだ修行が足りないかな?笑)今、この一瞬は、子供の一生で捉えたら、どんな意味があるのかな、という視点で見られるといいのかもしれませんね。
来年は大阪に行けたらいいな!みなさんも、ぜひぜひお子さんと一緒にデンマークに遊びに来てくださいね!

ニールセン 北村 朋子

ニールセン 北村 朋子

デンマーク ロラン島在住のライター、ジャーナリスト、通訳、翻訳、コーディネーター(英語、デンマーク語、日本語)。地球と人にうれしいライフスタイル追求がライフワーク。
これまでNHK『地球イチバン』や『NHKスペシャル』テレビ朝日『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』など、日本の多くの番組でコーディネーター並びに通訳を担当。森の幼稚園の運営委員、ロラン市地域活性化委員を歴任。デンマーク・インターナショナル・プレスセンター・メディア代表メンバー。
2012年7月に初めての著書『ロラン島のエコ・チャレンジ~デンマーク発、自然エネルギー100%の島~』を上梓(発行/野草社・発売/新泉社)。震災からの復興を目指す東松島市とロラン市との連携・協力協定の締結に協力、福島ほか被災地や地方自治体の持続可能なまちづくりの支援を行なっている。2012年2月、デンマーク・ジャーナリスト協会Kreds2賞受賞。

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