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第8回:フランス 子育てと仕事を両立させるママたち

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出産

江草 由香

ママココをご覧のみなさま、こんにちは。

フランスに住んで16年。編集者・ライター・展示会プロデューサーの江草由香です。
日本で働いて貯めたお金でパリに留学し、大好きな映画について2~3年勉強したら日本に戻る予定が、フランスで結婚し、現在、フランス人の夫と、もうすぐ11歳になる息子と3人で、パリの中心、オペラまで電車で30分の郊外に住んでいます。

フランスにはワーキング・マザーがたくさん。子育てと仕事の両立をキーワードにフランスでの子育てついて ご紹介しますね。

ママになるための関門の一つ、出産。
フランスでは無痛分娩が主流なので、私も例にもれず、脊髄に注射を打つ無痛分娩で息子を出産しました。
痛みを感じないで済むのはありがたいことですが、いきむタイミングがつかめないのが玉にキズ。
無痛分娩と自然分娩の両方を体験したママたちに話を聞くと、「無痛の方が100倍ラク」、「難産で自然分娩後は、30日間熱が下がらず寝込んでいたが、無痛分娩の後は、12時間後にはのんびり散歩ができた」なんて声も。
日本では、産みの痛みを味わってこそりっぱな母親になれる、なんて考えもあるようですが、何ごとも合理的に考えるフランス人の間では、「痛みはないに越したことがない」、「産後の回復が早いので無痛分娩を選ぶ」との考えが主流です。
特に出産後も仕事を続けるママにとっては、早く体力を回復して職場復帰したいところ。もちろん、フランス人ママの中にも自然分娩を選択する人もいるし、無痛の予定が、病院に行くのが遅れて、注射が間に合わず自然分娩になった、なんてケースもあるらしく、無痛分娩の割合は65%程度だそうです。

出産後も働くママが多数派

出産祝いにはたくさんのぬいぐるみが届き、この中から子どもはお気に入りのドゥードゥーを選ぶ。

フランスの25~49歳の女性の就業率は84%で、働くママたちがたくさんいます。
3か月の出産休暇が終わると、仕事に復帰しますが、子どもの預け先としてまず挙げられるのが、保育園。
ただ、希望者が多く、どこの保育園も順番待ちの状態で、“妊娠したらすぐに保育園を予約すること”なんてプレママ雑誌でアドバイスしているほどです。
また、保育ママと呼ばれる自宅で子どもを3人まで預かる保育士のところに預けるケースも。さらに、経済的に余裕がある家庭では、ヌーヌーとよばれる乳母を雇うこともあります。

生後3カ月にして昼間はママから離れなければならない子どもたちにとって、なくてはならないのがドゥードゥーとよばれるお気に入りのぬいぐるみ。
フランスではたいていの子どもたちが肌身離さずドゥードゥーを持ち歩き、万一、なくしたりしたら、パニックをおこしてしまうほど。
子どもによってはぬいぐるみではなく、タオルだったり。
スヌーピーの登場人物、ライナスの毛布を思い浮かべていただければ、と思います。
3才近くなってもボロボロになったドゥードゥーを持ち歩く子を見かけますし、私のフランス人の甥っ子は小学校高学年になっても、寝る時はドゥードゥーを枕元に置いていました。
我が息子はなぜかドゥードゥーいらずで、1歳半で一時託児所に預けた時には、最初に「ドゥードゥーは持って来なかったの?」と保育士から尋ねられました。

学校入学は3歳から。公立なら高校まで授業料は、無料

学校入学初日。入学式は特になく、連れて来たパパやママが、子どもと一緒に1時間ほど過ごすことができる。

さて、フランスでは子どもは3歳から学校に通い、育児休暇は3年間取得できるので、子どもが学校に入ってから職場復帰するママもいます。
授業は毎日16時半まであり、共働き家庭の子どもは、引き続き、学童保育で夕方18時半、あるいは19時までそこに残ります。
学校は朝の8時半から始まりますが、学童保育は7時半からで、職場が遠い親たちはこれを利用します。
また、現在、小学校は水曜が休みなので、この日は一日中、学童保育が行われます。

フランスは公立校なら授業料が高校まで無料。
給食費は有料ですが、家に昼ご飯を食べに戻ることもできます。
下の子の育児休暇中のお母さん、自由業、あるいは失業中(?)らしきお父さんが、12時前に迎えに来て、午後の授業前に連れて戻る姿を見かけます。
学童保育は有料ですが、税金控除の対象になります。

また、国立大学の授業料は驚くほど安いです。
私はフランスに留学した2年目に、国立大の映画学科に登録しましたが、年間授業料は当時、1万5千円程度で、入学金なんてものはナシ。
あれから15年、少しは値上がりしたのかしら、と調べたところ、今は181ユーロ、2万1千円程度。その時の為替レートで、日本円に換算した額は変わりますが、それにしても日本の国立大学に比べてはるかに安いですよね。

ちなみに、私の息子は発達障害のアスペルガー症候群と診断され、小学校の普通クラスに在籍しながら、療育センターに週2回、午前中に通っています。療育センターの費用はもちろん、センターまでの送迎タクシーも無料。
タクシーが家まで迎えに来て、療育センター終了後、今度は学校まで送ってくれます。
また、一昨年、去年と夏休みに療育センター主催の5泊の林間学校にも出かけましたが、こちらも、参加料が一昨年は無料で、去年は5000円程度でした。

フランス人の夫はしょっちゅう、税金が高いと怒っていますが、教育に関してはしっかり還元されていると感じます。

水曜日は習いごとの日

人気の水泳教室。泳ぎを知らない子ども向けの初心者クラスに入ったので、色々な年齢の子がいます。

現在、フランスの小学校は水曜日がお休みなので、この日に習いごとが集中します。
うちの息子は水曜日の午前中に水泳教室に通っていますが、水泳は人気の習いごとの一つです。
去年はキャンセル待ちでしたが、結局、年度末まで空きが出ず、今年は登録初日の朝早く申し込みに行き、何とか、入ることができました。
ワーキングママの中には、水曜日をお休みにして(特に小売業関係の仕事をしている人は、水曜に休み、土曜に働く)、子どもと過ごす、というよりは子どもの習いごとの送り迎えに務める、という人も少なくありません。

ただ、来年度からフランスは小学校も週4.5日制となり、(地方公共団体によっては、再来年度から)、水曜日も午前中のみ授業が行われるようになります。
こうなると、水曜の午後に習いごとが集中し、ますます競争率が高くなる可能性がありますね。

学校休暇が多くて、しかも長い

冬休みに参加した、雪山のスキー教室。月曜から金曜の5日間がワンクールで、最後に終了書とバッジがもらえます。

日本と比べて、フランスはバカンス・スコレールと呼ばれる学校休暇が多い上に長いことに驚きます。
夏休みは7,8月の丸々2か月で、夏休みの宿題なんてものはありません。9月に新学期が始まったと思ったら、10月~11月にまたがる2週間が、万聖節の休暇。12月から1月にかけて、2週間のクリスマス休暇が、そして2~3月にかけてスキー休暇ともよばれる2週間の冬休みがあり、さらに4月~5月の間に2週間の春休み(イースター休暇)があります。
ちなみに冬休みと春休みは、フランスを3つの地域に分けて、始まりが1週間ずつずれていますが、その理由はバカンス地の混雑と高速道路の渋滞を緩和するため、と実に合理的です。

一方、親の方は、1年間に5週間の有給休暇があります。
フランス人に言わせると、「有休取得は国民の権利ではなく、義務」なので、その消化率は、ほぼ100%だとされています。
子どもの休みに合わせ、夏に3週間、冬に1週間、春に1週間という具合に分けて休暇を取得するパパやママが多いです。
一度、ヴァカンス直前のテレビニュースで、インタビューを受けていた小学生の女の子が、「いつも怒っているママが、ヴァカンス中は優しくなるのでうれしいです」と答えているのを見かけました。
これを見て、苦笑いしたママたちも少なくなかったでしょうが、ヴァカンスは、普段、仕事と子育てと家事に追われているママにとって、子どもとゆったり過ごせる大切な時期と言えます。

もちろん、5週間の有給休暇では学校休暇はカバーできないので、子どもたちは、祖父母の元で過ごしたり、コロニーと呼ばれる林間・臨海学校を体験したり、小学校も高学年になると子どもだけで参加できる、泊まりがけのスキー旅行に行くことも。
また、学童保育は、学校休暇の間も行われます。

パパが子育てに協力的

残業や休日出勤がほとんどなくて、有給休暇も長いので、パパが子どもと接する時間がたっぷりあります。

最後に、フランスに限らず、ママが子育てをしながら働き続けるために欠かせないのが、パパの手助け、でしょう。
フランス人はほとんど残業をせず、アフター5に同僚と飲みに行く習慣もないので、パパたちが早く帰宅し、家事や育児を分担する家庭が多いようです。
我が家も息子が4才になるまで住んでいたアパルトマンが、夫の職場から車で5分のところ、という恵まれた条件だったこともありますが、夫は管理職であるにも関わらず、18時半には帰宅し、息子をお風呂に入れたり、おしめを替えたり、遊んだり、と、毎晩、よく面倒をみてくれました。
長時間労働が当り前の日本では、パパがこんな風に、毎日子育てに協力するのは難しいのではないでしょうか。

フランスの合計特殊出生率は2.0とヨーロッパ諸国の中でも、高水準を保っています。
育児支援のための法律や制度、サービスも充実していますが、この出生率の高さは、パパが子育てに協力できる環境が一役買っているかもしれませんね。

江草 由香

江草 由香

パリ郊外在住、編集者・ライター・展示会プロデューサー。
映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。
PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『Bisouビズ』を創刊。
現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』www.bisoujapon.comの編集長を務める。
著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』(東京文献センター)。
パリのギャラリーやジャパン・エキスポなどの見本市で、日本人アーティスト、クリエーターの出展をプロデュース、コーディネートする。

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